ずらっと並んだポルシェ911タイプ991の中古車
ポルシェ911がずらっと並んでおり、その数8台はあります。中古車といえども、その総額はいったいいくらになるのでしょうか。
マカン・ターボの新しい中古が入荷したとの連絡が来ましたので、見に行って来ました。以前に試乗した青い車両は、やはりお買い得だったのか早々に売れてしまったみたいです。
試乗してから、1ヶ月も経っていません。やはり、中古でも人気のポルシェ・マカンです。
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今回のマカン・ターボも、装備から見たらかなりお買い得なので、おそらくは1週間程度で売れてしまうと予想します。マカンの中古車の回転は、軽自動車並みに結構早いようです。
未だもって新車は、納車までに半年~1年(カラーなどにより)がかかることから、今すぐ欲しい人にはお買い得に映るのでしょう。
裏の駐車場に、「おっ!?このオプション、いい装備が付いてますね」とセールスマンに聞きますと、「それはお客さんのです」と。やはり、付ける人はめるせです・ベンツ並みにまでオプションを付けるようです。
一つ気が付いたことがあり、21インチのオプション911ターボホイール(OP 52万円/ターボ)はさすがに格好いいのです。これを見た直後では、ノーマルホイールの18インチがいかにも貧弱に見えてしまうのでした。
ですが、タイヤ交換で30万円/4本だそうです。(汗)
愛嬌のあるカエル目の911には意味がある
冒頭のずらっと並んだポルシェ911ですが、この店舗で販売されている中古車で全てタイプ991と呼ばれるモデルです。正規ディーラーが扱う中古車ですので、いずれも低年式の1オーナー車です。
ポルシェ911と言えば、そのカエル目顔が最大の特徴でポルシェのアイコンにもなっています。この形になったのは必然で、機能を突き詰めていった結果の形でもあります。
ポルシェ911はリアにエンジンがあり後輪を駆動するRRというレイアウトを採用しています。このためフロントのボンネットフードの下には何もなく、ここにはトランクがあるだけです。
そうなりますと、前面投影面積を少しでも小さくしたいスポーツカーでは、ボンネットを思いっきり低く設計するのです。ところが、全面の部品で昔のハロゲンのヘッドライトユニットは大きく、またヘッドライトの場所には高さ制限があり、フェンダーの下にはサスペンションがあることからもボンネットはあまり下げられないのです。
そこで中央のボンネットフードは低く、ヘッドライトの位置は高いという911の顔が生まれたわけです。これが、エンジンがフロントにある車ならば、エンジンの高さがありますのでここまでボンネットフードは低くはならず、目が上面に飛び出るような形にはならないのでした。
また、ヘッドライトが上面へ飛び出る形状は空力的にも有利に働きます。
ボンネットやサイドを流れてきた空気は、Aピラーとドアミラーに当たります。ここで気流が乱れて渦を形成して巻き込んでしまいますと、車体を後方へ引っ張る力が働いてしまうのと、風切音が発生します。
この空気の流れをヘッドライトで切り裂き、ボンネットとサイドに分けてやると、Aピラーとドアミラーの後方へ気流は綺麗に流れるというわけです。
最近の日本車でも、プリウスやリーフなどのエコカーでは、ヘッドライトのカバー上に小さな突起があり気流を分けているデザインが見受けられます。ポルシェでは、これを1960年代からヘッドライトのデザインで行なっていたというわけです。
ポルシェ911は誰にも似ていない特徴的なデザインですが、そこにはちゃんとした機能的な意味があったのです。
911を連想させるデザインは解き放てない呪縛
元々は、メカニズムのレイアウトと空力のため、必然として生まれた911のデザインですが、初代のタイプ901から現在に至るまでそのメカニズムの基本レイアウトを変えていません。それに伴い、デザインもシルエットが変わっていないのです。
モデルチェンジを繰り返してきたモデルで、これだけ変わらない車も珍しく、他に例がありません。このため、誰が見ても「ポルシェ911だ」と判る形となっています。
これが逆にポルシェ社を苦しめており、「ポルシェ=911」というイメージが極めて強く、他のモデルを発売しても911のイメージに引きずられてしまい比較されることから、「売れない」という結果を招きます。
実際にポルシェの経営は911の販売に頼るところが大きく、メイン市場のアメリカの景気が悪くなると販売台数が落ち込み、経営難に陥るということが何回もありました。この時には、メルセデス・ベンツやVWが生産を委託して経営を助けた経緯があります。
そこで近年のポルシェでは、カイエンやパナメーラ、マカンなどをヒットさせているわけですが、いずれも911のリヤエンジンとは異なるフロントエンジンとなっても、ヘッドライトの形状やボンネットのスロープダウン、フロントフェンダーは911のように水平に伸び、リアも911のフライラインやショルダーのデザインを受け継いでいます。
エンジンの搭載位置が異なり、キャビンや荷室に実用性を持たせなければいけないモデルですが、上手く911のデザインを継承しています。今のポルシェはどのモデルであっても、一目見て「ポルシェだ」と判るデザインになっています。
ポルシェのデザインは、アイコンでもある911のイメージを継承しつつ、ドイツ車らしく機能に裏打ちされた意味のあるデザインになっており、これが以前は年産5万台程度の風が吹けば飛ぶような小規模メーカーであったものを、年産30万台で利益率では親会社のVWをも凌ぐ中規模メーカーへと押し上げた原動力でもあります。
911をイメージさせることは、そのハイブランドを継承できるメリットであると同時に、911のイメージから外れるものはユーザーやファンには見向きもされない、という呪縛でもあるのです。
これも、928や968で失敗(倒産しかけた)した経験があっての今がある、ということです。
海外の自動車デザインで活躍する日本人
ポルシェAGには、社外へ向けての工業製品のプロダクトデザインを請け負う「デザインスタジオ」があります。ポルシェデザインの腕時計やサングラスにスマホなど、見たことがある人もいらっしゃるかと思います。デザインの対象は車やボートから衣類まで、あらゆる工業製品に至ります。
実際に日本車でも、日産セドリック/グロリアの最終型「Y34型」(1999-2004年)のデザインは、ポルシェデザインに依頼をしたのではないか?とは言われています。その上でヘッドライトのあたりやテールランプの処理を見てみますと・・・公式には何も公表はされていませんので、皆さんの感じ方に判断はお任せします。
最近では、こういった海外の自動車メーカーのデザインスタジオで活躍する日本人も多く、フェラーリでエンツェオ・フェラーリをデザインした奥山清行氏、日産でセフィーロをデザインしその後アウディのシングルフレームをデザインしてアウディの起爆剤となった和田智氏などは有名です。
ポルシェで言えば、パナメーラ。スポーツツーリスモをデザインした山下周一氏などが知られています。
機能は一流だがデザインは二流と言われた日本の工業製品ではありますが、日本人が世界の自動車のデザインをリードするようになってきています。