世界で初めて今の形のタイヤを発明したダンロップ
東京オートサロン2019、ダンロップでベントレー「ミュルザンヌスピード」です。
さしものベントレーも、コンパニオンの前では霞んでしまいますでしょうか。このベントレーも最新型で、なかなか街中ではお目にかかることは無い珍しい車なんですけども。
ダンロップは1889年創業のイギリスの会社で、世界で初めて空気チューブのタイヤを発明した会社でもあります。創業者のジョン・ボイド・ダンロップは獣医で、息子から「自転車をもっと楽に早く走らせるにはどうしたよいか」と問われ、動物のお腹の構造を自転車の車輪に活かせないかと考えたことが始まりです。(当時はまだ、木製および固形ゴムの車輪でした)
以来、タイヤの構造は150年間にわたり変わっていません。
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ジョン・ボイド・ダンロップが空気入りタイヤを発明し1887年に特許を取得したのですが、同じスコットランド人のロバート・ウィリアム・トムソンにより1845年に同様の特許が申請されています。これによりトムソンとダンロップは法廷闘争で争うこととなります。
発明はトムソンの1845年と早いものの、実用的なタイヤを開発したということでダンロップが現代のゴムタイヤを発明したとされています。
分割されて切り売りされたダンロップ
ダンロップと言えば、ゴルフやテニスをやる人などはタイヤよりもスポーツ用品のイメージが強いと思います。ゴルフクラブやテニスラケット、ボールなどでは有名です。
元々は前述のダンロップが設立したゴムメーカーで一つだったのですが、1980年代に経営危機に陥りタイヤ部門が住友ゴムへと売却されました。その後、1999年に住友ゴムはグッドイヤーと提携、北米・欧州市場をグッドイヤーが、日本とアジア市場を住友ゴムがダンロップのタイヤブランドを使用することになります。
2015年にグッドイヤーと住友ゴムの提携は解消、ダンロップのタイヤ部門はグッドイヤーが100%子会社としますが、その後もブランド使用権はそのまま継続しています。(商標使用料が発生)
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1999年当時、住友ゴムは経営が悪化、世界のタイヤ3強の一角であったグッドイヤーから出資を受け入れます。これによりグッドイヤーは住友ゴムが保有していたダンロップ事業の主導権を獲得することになるのでした。
住友ゴムはダンロップと共にファルケンのブランドも保有しており、2003年に旧オーツタイヤを吸収合併したものです。欧米で使用できないダンロップブランドの代わりに、ファルケンブランドでタイヤを販売しています。
なぜ住友ゴムの一つの会社に複数のタイヤブランドがあるのか、統一した方が広告などコストも下がるのではないか・・・と不思議に思っていた人は多いと思います。こういったオトナの事情があるのですね。タイヤに関して言えば、いつグッドイヤーがダンロップの商標を引き上げに来るかというリスクがあるためです。
タイヤ以外にもダンロップブランドの製品
日本・アジア地域では住友ゴムがダンロップブランドの商標使用権を獲得しており、タイヤ以外にもゴム関連製品を多く販売しています。ゴルフ、テニスの他にもテントなどのアウトドア製品、ゴム手袋や医療用の水枕といった製品を取り扱っています。
これらの製品を住友ゴムの子会社やグループ外の会社がライセンス生産を行っていたりと、複雑に入り乱れているのが「ダンロップ」製品です。
2016年には、住友ゴム工業がダンロップの商標権とライセンス事業を買収、これにより一部地域を除き全世界でスポーツ事業と産業品事業は製品展開が出来るようになりました。
う~ん、グッドイヤーを考えると複雑な関係ですね。
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