オートモビルカウンシル2023 テーマ展示 フェラーリ スペチアーレ

イベント

コロナ禍終焉でヒストリックカーが集結!オートモビルカウンシル2023

2023年4月16日

ヘリテージカーが集合するオートモビルカウンシル

オートモビルカウンシル2023 テーマ展示 ポルシェジャパン

2016年から毎年開催されており、2020年からの2年間は新型コロナにも負けず人数制限をしながら開催、2023年の今年で8回目を迎える「AUTOMOBILE COUNCIL(オートモビルカウンシル)2023」が、今年の春も幕張メッセで開催されました。

新型コロナ禍も3年目となりますが、今回は昨年とは異なり行動制限や人数制限のないイベントということで、コロナ禍前の状態への復活が期待されます。行動制限がないということでマスクの着用義務はないのですが、日本人は真面目なのかまだまだほぼ全ての来場者がマスクの着用をしていました。

「オートモビルカウンシル」とは、主に製造から25年以上が経過した「ヘリテージカー」を対象に展示・販売を行う自動車イベントです。製造から40年以上が経過する「クラッシックカー」まではいかない、一定の年齢以上の方が若かりし頃に現役だった懐かしい車達がレストアされ、綺麗に磨かれてお立ち台に上がります。

最近では、製造から20年以上が経過した日本車がアメリカの25年ルールでブームとなっており中古車価格が高騰、これに引きずられるように経済成長を遂げたアジアでも日欧の旧車ブームが起きており、価格が跳ね上がっていることからこのイベントも次第に注目度が高くなってきています。

まだ歴史が浅く、コストがかけられる大きな会社の出展などが少ないことから、他のモーターショーのように肌の露出度が高いイベントコンパニオンを配置したり、派手な音楽や演出がありません。このため、コンパニオン目当てのカメラ小僧が皆無であることも、大人向きの落ち着いた雰囲気の自動車イベントとなっています。

また、認知度が他の自動車ショーなどと比較してもまだまだ低いことから来場者数は3日間で2万人程度と限られており、じっくりと近くで旧車を眺めたり写真を撮ったりすることができることもこのイベントの特徴でもあります。

今年の主催者テーマ展示はポルシェとフェラーリ

オートモビルカウンシル2023 ポルシェ カレラGT

「オートモビルカウンシル」の開催規模は、参加企業が50社ほどでその多くは中古車販売業やレストア事業者などの中小規模の事業者が中心です。その中でも、今年はメーカー系が9社と過去最大規模となっています。

スペース的には幕張メッセ全館を使用するオートサロンにはとても及ばず、幕張メッセの9−11館の1ブロックを使用するのみとなっています。このため、2~3時間ほどで全てを見切れる分量でもあり、午後は隣にあるAEONモールでのお買い物などと組み合わせてもちょうどよいサイズのイベントでもあります。

毎回注目される、今回の主催者テーマは、

  • ポルシェ911 60周年記念企画「初期ナローからカレラGTまで」
  • エンツェオ・フェラーリ生誕125周年企画「フェラーリ・スペチアーレ」

いずれも、ポルシェとフェラーリがほぼ10年おきに開発して発売する、通常のラインナップからは外れたスペシャルモデルのスーパースポーツカーの歴代を中心に展示されています。公道ではまず、ほぼ見ることのない希少なスーパーカーを間近で観察することができる、貴重な機会でもあります。

ポルシェ918スパイダー 新宿の公道で遭遇
ポルシェ918スパイダーに遭遇!エコなスーパースポーツカー

超レアなスーパーカーに遭遇ポルシェ918 新宿を走行中、前方に何か平べったいスーパーカーがいることに気づきました。混雑状 ...

近年では、「ポルシェ」「フェラーリ」「マセラッティ」などのスポーツカーメーカーは宣伝コスト削減の影響から凋落傾向にある東京モーターショーへの参加を取りやめていることから、大規模自動車ショーではスーパーカーを見ることができなくなっています。

ポルシェの展示は、ポルシェジャパンの全面協力のもと、初代911の初期モデル「ナローポルシェ」から「カレラGT」までの4台が展示され、ポルシェの歴史を垣間見ることができます。

オートモビルカウンシル2023 ポルシェジャパン ポルシェクレスト
オートモビルカウンシル -ポルシェ911誕生60周年企画ナローからカレラGT

1963年登場のナローポルシェから始まる歴史 オートモビルカウンシル2023の主催者テーマの一つ目は、「ポルシェ911  ...

フェラーリの展示は、スーパーカーの頂点に君臨するスペシャルモデル、エンツェオやF40、F50などの6台が展示されています。これだけのスペチアーレが、同じ場所に一堂に会することは非常に希少な機会です。

また、こういった高額な希少モデルはお立ち台に上がってしまい、遠くから眺めるのが一般的なのではありますが、オートモビルカウンシルでは手の届きそうなすぐそばで見ることが可能で、運転席などもじっくりと観察をすることができます。車両に触れられる距離なのですが、大人のイベントですので当然ながら「Don't toch me」です。

これまでは、アメリカの25年ルールのせいで日本車の80年代~90年代のヘリテージカーが目立っていましたが、今回の展示に限ってはメルセデス・ベンツとともにヨーロッパ車が目立つ展示内容となっています。

メーカー系やインポーターの参加も増えた

オートモビルカウンシル2023 マセラッティ MC20チェロ スパイダー

往年のスーパースポーツカーの展示だけでなく、日産のブースではネットで話題の女優・伊藤かずえさんのシーマの展示や、1989年式のパオ、1988年式のZ32フェアレディZなどが展示されています。80年台から90年台には普通に街で見かけたモデルですが、今や希少な展示車両としてショーカーとなっています。

その他にも、メーカー系ではホンダが4輪進出のきっかけとなり今のホンダの礎となった「T360」と、幻の2シーターオープンスポーツカー「スポーツ360」などを展示しています。この1963年8月の「T360」発売から今年でちょうど60年、ホンダは4輪進出60周年となります。

マツダは、「MX-30e SKYACTIVE R-EV」を日本初公開し、「RX-8 ハイドロジェン RE」や「コスモ AP」とロータリーエンジン復活への執念を示しています。

三菱自動車は、今回のオートモビルカウンシルへは初出展となり、「AWDとEV」をテーマとして現行販売車種を展示、レース車両など計5台を展示しています。

輸入車のインポーターも増えていて、ポルシェ・ジャパンをはじめとしてアルピーヌ・ジャポン、マセラッティ・ジャパン、FCAとPSAグループを統合したStellantisジャパン、日本へ進出した中国の電気自動車メーカーBYDを加えた9社が参加となっています。

旧車だけでなく最新BEVも展示

オートモビルカウンシル2023 BYD SEAL 中国 電気自動車 BEV

展示車両はヒストリックカーだけではなく、メーカー系では最新のモデルの展示も行われています。

日産の「さくら」と兄弟車で三菱自の「ekクロスEV」、BYDの既に発売済みのSUV「ATTO3」と今後発売予定のセダン「SEAL」、ポルシェ「タイカン・クロスオーバー」、アルピーヌ「A110R」など興味深いモデルばかりで、当然のことながら人だかりとなっていました。

意外とガソリン臭がプンプンする旧車のイベントにも関わらず、最新の電気自動車の展示が多いのは、意外でもあります。これも、時代の流れなのでしょうか。

圧巻なのは、マセラッティの新型スパイダー「MC20チェロ」で日本初公開、わずか12秒で開閉するリトラクタブルハードトップを採用する特殊なガラスルーフは、スイッチで透明からスモークへと変化する電動シェードを備えています。価格は3,550万円とこちらも超弩級のお値段になっています。

なぜ、それほど来場者の多くない旧車のイベントに、4,000万円近い新型車を日本初披露の場として選んだのかが気になるところですが、旧車で中古車とはいえ1,000万円を超える価格も珍しくなく、中には2,000万円を超えるGT-Rなどもあることから、それなりの収入がありこのモデルに興味を持ち購入できる人が中には数人いるのではないか、という計算があるのではないでしょうか。

今回は出展はありませんでしたが、億を超える本物の「メルセデス・ベンツ300SL」が展示されたこともあるイベントです。オートモビルカウンシルの展示車両の中には、「走る資産」と言われるモデルも少なからず存在するのでした。

減っていく純ガソリン車いつまで乗れるのか

オートモビルカウンシル2023 日産シーマ 伊藤かずえ

旧車と呼ばれるヒストリックカー、ヘリテージカーのほぼ全てがガソリンで動く純ガソリン車です。そのガソリンも、いつまで安定的に供給されるのかは誰もわかりません。

ガソリンスタンドも、後継者不足や老朽化により次々と閉鎖され、時間をかけて遠方へガソリンを入れに行く、というようなことも市街地でも珍しくなくなってきています。

もしかしましたら2040年あたりでは、ガソリンはリッター1,000円超を缶で通販にて購入、これをイベント会場まで往復できる十数リッターだけを入れて、旧車のガソリン車を動かすような時代が来るのかもしれません。

例えばポルシェ「718スパイダー」などは、4.0Lの水平対向NAエンジンで今となっては過給機でパワーを稼いでいない貴重なNA大排気量エンジンモデルでもあります。元となっている718ボクスターは、ダウンサイジングであ水平対向4気筒で過給機付きとなっています。

さらに、718ケイマン/ボクスターは間も無くフルモデルチェンジのモデルサイクルであり、次期モデルはBEVになるとされており、またそのスパイスクープなども出てきています。つまりは、現行モデルがガソリンエンジン最後のモデルで、そのハイチューンVerがケイマンGT4と718スパイダーということになります。

すでにこれらの特別なモデルの受注は停止されていることから、中古車市場ではオプション価格を考慮したとしましても400万円くらいは高い新車価格を大きく上回るプレミア価格(1,900万円ほど)で取引がされている現状があります。ダウンサイジングターボ化される前のエンジン車がこのような状況ですから、近い将来これがガソリン車でも起こる可能性があります。

このように、人気のスポーツカーなどに限らず、新型車が次々とBEV化していきますと、純ガソリンエンジン車の中古車はプレミア価格となる可能性が大いにあるのでした。どうしても充電環境などから、ガソリン車を必要とする人たちが一定数いるはずなのです。

こういった社会問題も、考えさせられる今回のオートモビルカウンシル2023の展示内容なのでありました。

-イベント