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VWの不正

ここのところ、なかなかゴキゲンでは無いワーゲンです。

別に輸入車が好きだからとか、VWの肩を持つわけでは無いのですけれども、程度の差こそあれドコのメーカーもやっていることじゃ無いかな。
VWの場合、それを裏プログラムでやっちゃったから"不正"というだけで。

日本メーカーも含めて、我々はそういう車を買っているんだという、消費者の認識は必要かとは思います。

なんか、ネット上ではVW悪し!という論調が特に目立つケド。
どんな不正を行なったのか、批判をしている人の中で今の時点で理解をしている人が何人いるのか?と。

じゃ、どんなことをやったのか?

自動車の燃費や排ガスの検査は、ローラーの上に乗せて決められた走行パターンでエンジン出力の上げ下げをして測定されます。
スタートでエンジン回転を〇回転に上げ一定で走行、減速して加速して…というのを繰り返します。

この検査パターンは公開されていることから、どのメーカーもコレに合わせて最適なパフォーマンスが出るようにコンピューターをセッティングしているのです。
これは、別に悪いことでは無い。

ここで、ディーゼルエンジンの特性として、ガソリンエンジンに比較して燃焼効率は良いのでCO2は少ないのだけども、NOxとPM粒子は多い。
そこで低減させるために2つのアプローチがあります。

・尿素水を使う(ベンツやトラックで採用)
・触媒を使う(今回のVW、そしてBMWも採用)

これでNOxをN2とH2Oへ還元させます。

この他にマツダのディーゼルは、圧縮比をガソリンエンジン並みに下げるというウルトラCに出ています。
高圧縮が売りであるディーゼルなのですがコロンブスの卵的発想で、これによりNOxが低減できるのです。
が、出力は欧州車に比べてその分落ちます。

VWが用いていたのは、後者の触媒タイプ。
ところが触媒は、その性質上排気温度が上がらないと働きが悪いという欠点を持っています。
働きが悪いと当然、NOxは多く出てしまいます。

ここで検査の際に問題になるのは、エンジン負荷のかかる急加速時です。
一定走行でエンジン負荷が低い時は排ガスの温度が下がっています、そこから急加速した場合には増えたNOxを触媒が暖まるまでの一瞬だけ還元が間に合わなくなるのです。

そこでVWは、検査の走行パターンが判っているのだから、急加速する少し前に温度を上げて触媒を事前にフルに働かせておこう、と考えたわけです。
検査パターンを検知すると、急加速する手前で燃料を多く噴き未燃焼の燃料を排気管に送り込みそこで燃焼、排気温度を上げていたわけです。

ところが、実際の走行ではいつ急加速が入るか判らないから、事前に排気温度を上げるなんてことは不可能、結果NOxが多く排出されるということになります。

VWは、この裏プログラムで検査を不正にパス、そして消費者へはエコカーだと騙して売っていた、と言うことになるわけです。
ここが大問題なわけです。

VWの不正も見過ごすことはできませんが、問題の本質はソコじゃ無い。
じゃぁ、テストにさえ合格すれば実走行では燃費も排ガスもジャジャ漏れでもいいのか?ということです。

最近の日本車のエコカーを呼ばれるモデル、実走行ではカタログ燃費の6割程度にしかなりません。
テスト項目にセッティングを合わせてあるために、それ以外の実使用ではカタログ通りの性能が発揮できていないのです。

みなさん、それを「エコカー」として通常よりも高い金を払って買い、乗っているのですけども。

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