イニシャルDに続く"86"にこだわるMFゴースト
東京オートサロン2019、MFゴーストの86です。
『MFゴースト』とは、『頭文字D』に続く後継マンガのことです。頭文字Dの15年ほど先の時代の設定で、かつての登場人物が歳を取って登場しているようです。
デジタル音楽配信が一般化した今、レコードやカセットテープのようなアナログ音源を楽しむ人がいるように、自動運転+EVの時代に敢えてガソリンエンジンで公道レースをするという設定です。
ミッレミリアのようなレースが今あることを考えれば、あり得ない話ではありません。
「新公道最速伝説」とキャッチコピーがあり、主人公がパワーの低い車を使い公道でバトルをする、という頭文字Dのコンセプトは引き継いでいるわけです。
何かイベントがあったらしく、すごい行列を作っていました。時間があれば並んでみたかったのですが、あれは何だったんだろう?
作中に登場するレースクイーンチーム「MFGエンジェルス」というコンパニオンを用意しているみたいですから、その撮影会でしょうか。
Toyota86の復活に無関係ではない頭文字D
かつては、マンガに登場する実車が人気になるということは珍しくありませんでした。まだ免許を取れない少年達が、マンガを読みながら往年のスポーツカーに憧れていたのです。
そして、免許を取得したら中古でこれらのスポーツカーを買ったのでした。
そうして人気が出たのが「頭文字D」のAE86、一時期は新車価格を上回る定価以上で売買されており、新車時に購入価格より高く下取りで売ったという人もかなりいたようです。
その後は新車価格以上という狂乱価格は収まるものの、それでも低年式が100万円以上で取り引きされるというこのクラスの車としては異例の価値が付いていました。カローラの販売台数は多いものの、その2ドアVerのレビン/トレノの販売台数は少なく、5年間で両車合わせて6万台ほどしか販売されていないためです。
コンパクトFR復活のノロシ
市場のAE86人気に推され、ようやくトヨタが動きます。
とは言え、コンパクトなモデルは効率優先から全てFF化されており、トヨタにFRのシャーシがありません。FFとFRでは生産ラインも変えなければならず、専用に作ればそれだけ価格も上がってしまうのです。
当初のコンセプトは、
- 若者が買える200万円以下
- 車重1300kg以下
- コンパクトFR
というもの。
価格を抑えるためには新規開発は出来ません、既存のパーツの流用や改良で組み上げなければなりません。
このため白羽の矢が立ったのが、当時カムリの委託生産をしていた富士重工、スバルでした。リーマンショックによるGMの経営悪化でスバルの株式をGMと合弁を行っていたトヨタが引き受けており、またカムリの生産でも技術者の交流があったのです。
インプレッサならシャーシは比較的小型で、AWDのためドライブシャフトを通すセンタートンネルもあることから、大きな改修無しで流用できます。そうなれば、インプレッサと同じ生産ラインへも流すことができます。ここへ、マークXの駆動系を組み合わせれば、比較的安価に出来上がると踏みました。
ところが、ことはそう簡単では無く・・・
運動性能を上げるためにAWD化を捨ててエンジンの搭載位置を下げたことから、エンジン周辺はほぼ新設計となります。さらに衝突安全性の強化で補強が必要となり、コストがかさんでいきます。
結果、200万円という目標は切れず、苦肉の策として簡易グレードを198万円とすることで200万円という数字は達成したという経緯があります。こうして出来上がったのが、AE86をオマージュしたToyota86というわけです。
自動車メーカーのスポンサーが付かない最近のドラマ
過去を振り返ってみれば、マンガやアニメからブームに火が付いた製品も少なくありません。ガラケー時代の携帯電話の富士通Fシリーズなど、マンガの主人公が使用していたことで人気となった製品もあるのです。
ところが、最近では企業コンプライアンスが重視され、マンガやドラマにリアルな製品を登場させるのには複雑な権利関係がジャマをして難しくなっています。うっかり許可を取らずに登場させてしまいますと、SNKのゲーム画面を描いてしまったスクエニ刊「ハイスコアガール」のように裁判沙汰にまで発展してしまいます。
昔は刑事ドラマには自動車メーカーのスポンサーが当たり前で、主役が乗り現場へ駆けつけるのはメーカーの花形車種でもありました。が最近の刑事ドラマでは特定のメーカーに偏るのを避け、普通の車を使用するようになっています。
SUV全盛、スポーツカー受難の時代とは言え、主人公が乗って活躍する車をマンガ化やドラマ化して宣伝をして欲しいものです。