メルセデスベンツCLS 220d

メルセデス・ベンツ

メルセデス・ベンツThe new CLS、4ドアクーペの始祖

2018年7月9日

3代目になったメルセデス・ベンツCLS

メルセデスベンツCLS 220d

最近、TVCFで頻繁に目にするようになったメルセデス・ベンツ新型CLSです。

早いもので、2005年の初登場からもう3代目となります。登場当初は、質実剛健のベンツらしからぬ、スタイル優先でウィンドウ傾斜がキツく室内は圧迫感が強い、後部座席は子供しか座れないなど散々な評価をされていましたが、結果としては結構売れたようでありまして、3代目まで存続しているのがそれを物語っています。

要は、大半の人が2人乗車しかしない、後部座席は+2でも事足りる・・・ということになります。都市部の乗用車の平均乗車人数が、平日 1.33 人/台、休日 1.72 人/台(国土交通省のデータより)ということからも、納得することはできます

そんな「CLS」の名前の由来は、CLクラス(現Sクラスクーペ)のような流麗なスタイルと、Sクラスのようなステータスを併せ持つ、という意味です。車格としてのポジショニングはEクラスとSクラスの間にありますが、Eクラスのシャーシから派生をしているためEクラスファミリーになります。

従来よりスタイルはBMW、使い勝手はベンツとも言われ、とにかく合理的なパッケージを優先するのがメルセデスでもありました。ところが、これが購入者層の高齢化を招いていたことから、その企業理念を曲げてまでもスタイル優先のモデルを開発してきます。

このベンツCLSは、そのSクラス並みの大きさのボディのわりには、室内が狭く感じます。実際には横幅や足下スペースはCクラスよりは断然広いのですが、フロントとサイドのウィンドウ傾斜がキツいせいで前席の顔の周りがCクラスセダンと比較して圧迫感は大きいのです。

本来、クーペはフロントウィンドウが寝ていても遠くにあることからそれほど圧迫感は生じないのですが、そこは4ドアで運転席を前へ出さなければいけないという弊害が出ています。そこが気になる場合には、CクラスかEクラスを買ってくださいと、最近のメルセデス・ベンツは選択肢を増やしてラインナップを強化しているわけです。

スタイル優先の代償、フロントバンパーの下回りを擦ります

メルセデスベンツCLS 220d

これもセールスから聞いたのですが、新型CLSではフロントバンパーの下回りをショッピングセンターなど急傾斜のスロープでは確実に擦るようです。新車を回送しなければならない、セールスマン泣かせの車です。

CM60のカールソンエアロでも、バンパー下端の両サイドが出っ歯のように飛び出ており、段差にはバンプさせずにゆっくりと入りませんと、ガリッと擦ってしまいます。これは、ただ下回りが傷つくだけでは無く、塗装はがれやバンパー取り付け部の破損にも繋がりますから注意が必要です。

メーカー純正でも、このようなデザインで来るのは意外です。このあたりも、実用を犠牲にしてスタイルを優先している結果となります。

このフロントマスクは、サメの顔をモチーフとしてデザインされたそうです。そう言われて改めて見てみますと、サメに見えてきます。

あなたの好みはどちら?EU車的かトヨタ的か

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現代の新型車ではホイールの径がどんどん大きくなっていることから、格好良く見せるためにタイヤハウスの隙間が小さくなっています。このため、メーカー純正の状態でもタイヤはツライチに近くなっており、ホイールアーチのツメ折りがすでに標準でされていたりします。

もし機会がありましたら、新車の展示車のホイールアーチの内側へ指を入れてみてください。このような見えない部分にもきちんとコストがかけられているかどうか、消費者としてはチェックポイントです。

今回のCLSでは、キャラクターラインがほとんど消えているのが特徴とのこと。トヨタ車やレクサス車では、ゴテゴテと派手なキャラクターラインを入れるのが主流でしたが、これからのEU車のトレンドはそのキャラクターラインが消え、曲面の光の反射でボディを表現する方向にあるようです。
このため、EU市場をメインとするマツダなどはその方向へとデザインが向かっています。

とはいえ今後の流行ではトヨタやレクサスが正しいのか、ベンツやマツダのデザインが主流となるのかは、先の流行は誰にも判りません。5年後、10年後にどちらが正解なのか、その時になってみないと判らないというのが実際のところです。

あとは、購入する人の好みの問題ということになります。

自動運転の時代になるとデザインは消滅する

メルセデスベンツCLS 220d

モーターショーなどで公開されている自動運転をアピールする未来カーは、どれもノッペリと丸っこいずんぐりむっくりのスタイリングとなっています。

これは、自動運転が普及するほどに自動車は単なる移動手段となり、さらにコモディティ化することを意味しています。そうしますと、デザインは重視されなくなり居住性と空気抵抗を優先すれば丸いスタイルへと変わっていくはずなのです。プリウスなどを見ていれば、その行く先はボンヤリと予想が出来ますでしょうか。

シンプルなデザインで差別化を行う、非常に難しい課題ではないでしょうか。そういった意味からも、グリルなどでメーカーのアイデンティティを確立しておく必要があり、個性の無い日本メーカは各社とも必死に模索している最中でもあるのでしょう。

この新型CLSは"デザイン革命"を声高にアピールしており、デザイン的にはやはり新型クラウンの何年も先を行っているように見えるのでした。
クラウンがこの4ドアクーペのデザインを追いかけてきた、と言えます。

市場の要望に耳を傾けた結果

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今回の新型CLSは、定員が従来の4人乗りから5人乗りへと変更されています。ところが5人目の大人の乗車は無理とのことで、後部座席にはエマージェンシーで子供3人を乗せるため、だそうです。

これは、メルセデスでも「5人乗りが欲しい」という市場の要望に耳を傾けた結果であり、お客様の声を聞く時代なのでありました。以前のメルセデス・ベンツであれば、「技術者がコレが最適と言っているのだから黙ってそれを使え」、というのが当然でもありました。

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ちなみに、今回の3代目CLSにはシューティングブレークは用意されない、とのことです。代わりにシューティングブレーク風のAMG-GT4ドア(仮)があるから、ということのようです。

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