25万キロオーバーでもヘタレないベンツ
友人のベンツW211から、LINEで送られてきた写真です。「ニコニコ」で252,525kmのキリ番に到達とのことでした。
25万キロって、すさまじい走行距離です。と思うのと同時に、この前この車を少しだけ運転しましたが、シャーシにガタが無いのはさすがのベンツと感心します。
「シャーシは、エンジンより速く。。。」
これだけの距離になりますとさすがにゴムやブッシュ類がヘタってきているのは当然で、各部に雨漏りとかマイナーなトラブルはチョコチョコとあるようでして、ヤナセへしょっちゅう入庫しているみたいではあります。
今回も月曜日の大雨で雨漏りが発生、急遽修理のために入庫したようなのですが、ヤナセが代車を出してくれないと激怒していました。メルセデス・ベンツ3台を所有で、年間100万円以上も整備・修理代金で使っているのに?
普通なら、あり得ない塩対応です。
ところがよくよく話を聞いていきますと、いつも修理に入れるのは突然で計画的ではないようなのです。サービスで貸し出されている代車は、計画的に運用されていることから急な入庫には対応できないのは当然です。
最近では、メルセデス・ベンツの販売台数は年間5万5000台と三菱自を上回っています。それだけユーザーも多くなり、修理や整備での入庫も増えているのです。昔とは違うということを理解しなければ、いくら金払いが良かったとしましてもディーラーからは迷惑な客として対応されてしまいます。
何とか、A180を代車で出してくれたみたいでしたが、他の人の予約をキャンセルしたか、試乗車を回してくれた可能性があります。
10万キロ20万キロは全く問題の無いベンツ
新車登録から10年を超えてきますと、周囲が「買い換えないの?」とうるさく聞いてきます。ところが、不思議と古いメルセデス・ベンツに乗っている人たちからは、そのような質問を受けたことはありません。
なぜ、そのようになるのでしょうか?
それは10年10万キロ超えの自分のベンツで、不都合を感じていないからです。長く乗るのが当然、と考えているからです。
10年10万キロを超えてきますと、次のような不具合が増えてきます。
- 13年超えで自動車税や重量税が割り増しとなる
- オイル漏れなどが頻発する
- ヘッドライトが曇り暗くなる
- 電子部品が半田クラックにより壊れる
自動車という工業製品は、7~9年目あたりからエアコンのコンプレッサーが壊れたり、オイル漏れをするようになってきますから、修理が必要になってまいります。また、10年10万キロを超えてきますと、ゴムやブッシュ類が次々寿命を迎えることからも、交換が必要になってまいります。
ただし、このあたりの修理となりますと直接走行に関わるものでは無いだけに、入庫予約をして次の整備の時に一緒に修理するというような対応が可能になります。このことから、10万円程度の通常の整備費用に加えてこれらの修理費用が上乗せとなってきますので、20万円とか30万円といった出費となることが多くなるわけです。
この辺の修理はメルセデス・ベンツに長年乗っている身からしますと、そのほとんどが経年による劣化で「定期交換」というイメージなのですが、日本車に乗っている人からしますと廃車まではほとんどが交換する部品ではないだけに「高額な修理代」と考えてしまうようです。
メルセデス・ベンツの車作りのポリシーは、「最善か無か」「シャーシはエンジンより速く」というものが昔から言われています。10年10万キロを経過した車両では、このシャーシのできの良さを身をもって体験することができます。
日本車の高級車と言われるモデルでも、7年目あたりからボディに軋みが生じるようになってきます。ところが、メルセデス・ベンツでは、低価格のモデルであっても10年10万キロを超えても大きな段差を乗り越える際にボディはミシリとも軋みません。
さらには、ブッシュ類が交換されて整備から帰ってきますと、新車かと見間違うようにガッチリとなって戻ってきます。これは、整備や修理の入庫中には代車として最新モデルの3,000km以内のおろしたてを借りているのですが、これと比較してですから間違いはありません。
それだけシャーシがしっかりとしており、劣化して働かなくなくなっていたゴムやブッシュ類が新品となったことで、新車同様の感覚が戻ってきているということになります。これを体験してしまいますと、新車へ乗り換えなくてもいいのではないかと思ってしまうわけです。
メルセデス・ベンツを買うなら中古車が狙い目
メルセデス・ベンツの車作りの基本コンセプトは、「シャーシはエンジンより速く」でもあります。これはエンジンが壊れてもまだシャーシはヘタらないというものです。
それだけシャーシは丈夫で基本は頑丈に造られており、ゴムやブッシュ類の消耗品を変えれば、新車同様に蘇るというものです。このため、日本車の中古車とはその評価軸が違うということでもあります。
ここで最近のメルセデス・ベンツは、輸入車No.1の販売台数を誇るくらいに拡販に力を入れています。これは、市場に台数が多く出回っているということでもあり、結果として中古車の販売台数も多くなっているということです。
中古車の販売台数が多いということは、需要と供給の関係から言えば供給が多いということで、価格は安くなるということにもなります。事実、Mベンツの中古車は、その新車時の価格からすれば上級モデルほど、信じられないようなお買い得な価格で販売されていることがあります。
そこで、メルセデス・ベンツに乗りたい場合には、メルセデス・ケアが残っている1~2回目の車検までの、3~5年目以内のモデルを狙うことにあります。ケア中であれば、大きな修理費の出費はありませんし、万が一不具合などに当たったとしてもケア内で対応ができます。
メルセデス・ベンツの中古車の場合には、オプションなどはパッケージ化されていることと、必要な基本的な快適装備はほぼ標準装備となっていますので、あまり気にする必要はありません。逆に新車購入でも、エンジングレードが決まってしまいますと、オプションを選ぶ余地はほとんど無いということになります。
お買い得な中古車を見つけることによって、3年目~税金が上がる13年目までの約10年間、憧れのメルセデス・ベンツに乗れるということになるわけです。MベンツはEU車の常で、フルモデルチェンジをしましても日本車のように一気に古臭くはならないデザインを採用しています。さすがに2世代を経ますと、古臭く感じてはきますが、そこが乗り換えのポイントということでもあります。
日本車とEU車の設計思想の違い
根本的にヨーロッパの人と日本人とでは、モノに対する考え方が異なります。
ヨーロッパでは、フランスのパリなどアパートは古く歴史がある方が家賃が高くなります。この内装をリノベーションして住むのが一般的です。この考え方が、丈夫な車づくりにも反映されています。
これは、木と紙の文化の日本人と石の文化のヨーロッパ人との違いとなります。
日本は、古来より自然災害が多い風土です。地震や台風、大雨による河川の氾濫、山岳地形が多いことから土砂崩れなど、水害や土砂崩れが多かったと思われる地名が各地に多く残されています。
このため、これらの自然災害に家や田畑を幾度となく壊されており、その度にスクラップ&ビルドを繰り返してきています。どうせ壊されるのですから何十年も長持ちはする必要はなく、10年とか20年持てば良い木材や貼り替えが容易な紙で構築されています。
つまりは、壊れたら新規に作り直してしまえ、というのが日本人の風土からくる家屋に対する考え方なのです。
この考え方を象徴しているのが伊勢神宮の「式年遷宮」で、1300年前より続く20年に一度、社殿を東西に作り替えて全てを新しくする儀式があります。他にも諏訪大社の7年に一度、御柱を立て替えて宝殿を建て替える「御柱祭」など、こちらも1200年前から続いています。
これに対してヨーロッパでは、戦争で度々都市は破壊されていますが、基本的には100年はもつ石の文化で住居などは造られています。躯体は石で頑丈に作り、内装を入れ替えて長く使う文化になっています。
これは、大陸で地震や台風などで頻繁に破壊されることが無い自然風土からくるモノの考え方ではあります。エジプトのピラミッド建造物や、ギリシャのパルテノン神殿など、数千年前の石の建造物が残っています。
この考え方が双方の車づくりにも反映されており、日本車は10年だけもてば良いように造られているのに対して、ヨーロッパ車は躯体は頑丈に作り消耗品を交換しながら20年でも30年でも長く使う、という文化になっています。
またヨーロッパの土地は広く、国境を越えて長距離を走ることになります。実際に1年間の平均走行距離は、日本よりもEU車の方が20~30%多くなっており、その分シャーシは丈夫である必要があるのです。