マカンと見間違うクーペSUVボディのカイエン
「ポルシェよ、お前もか!?」
と思わず言いたくなるような、クーペSUV。次期カイエンを調べていたところ、カイエン・クーペのスクープ画像を見つけました。
画像検索をかけましてもマカンの写真しか出てこないくらいに、シルエットだけを見れば非常によく似ています。
本来SUVというのは「Sport Utility Vehicle」の略で、荷物をたくさん積んでスポーツやキャンプといったアクティビティを行う目的地まで快適に移動ができる車・・・というモノのはずです。それが、最近EUの各メーカーが力を入れて投入をしてきているのが、積載能力は皆無でスタイルを重視したクーペSUVなのです。
ライバルとするターゲットは、メルセデス・ベンツGLC/GLEクーペ、BMW X4/6クーペであることは明白です。トランクの積載能力は、はっきり言ってセダンよりも劣り皆無と言っていいのがSUVクーペです。
完全にスタイルを優先したプロポーションです。日本で売れるかどうかは別にして、アメリカでは売れるのでしょう。だから開発をしているのだと思います。
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専用設計でもあるカイエンのクーペ
まさに「911が嫉妬する後ろ姿」で、2代目パナメーラのような美しいテールではありますが、こちらのカイエン・クーペは3代目の新型カイエンの派生モデルとなります。クーペ専用にワイドに拡幅されたリアフェンダーは、より911のイメージを色濃く表現しているようです。
クーペSUVの登場がBMW X6が発端だとすればそのブームの最初は2010年頃となり、モデルライフを考えれば2代目カイエン(2010~2018年)にクーペボディを設定するのが適時だったと思われます。が、ポルシェではそうはしませんでした。
カイエンにクーペSUVの計画は、当然ながら2代目の時点であったようです。しかし、2代目のモデルライフ途中ではなく、設計の初期段階からクーペボディを前提にして開発されたモデルで投入したいということを考えた結果で、3代目のタイミングでのクーペボディを投入となったようです。
パッとみた感じでは、カイエンの後半部分をクーペ風に絞り込んだようにも見えますが、実際にはエクステリアの共通パーツは「ボンネット」「フロントフェンダー」「ヘッドライト」「リアテールランプ」くらいなのだそうです。
プラットフォームは、当然ながら3代目カイエンと同じ「MLB-evo」でランボルギーニ・ウルスと同じということになります。エンジンも基本的には同じものが乗りますので、そのキャパシティはウルスと同レベルにまで引き上げることが可能とも言えます。
なぜSUVにクーペ風が増えるのか
ポルシェの開発陣は「なぜカイエンにクーペを作るのか?」という質問に「そこにマーケットがあるから」と答えたそうです。BMW X4/6やMベンツGLC/GLEクーペが売れているのを見て、開発していることは明らかです。
通常2ドアクーペでは、そのベースとなる4ドアセダンに対して高付加価値型商品としてより高価な値付けとなります。セダンのような実用性重視ではなく、多少の使い勝手や居住性を犠牲にするだけの「贅沢な車」というイメージを消費者には植え付けます。
ベースのモデルと比較して多少高くても売れるということは、クーペSUVは価格一辺倒ではない富裕層向けの商品でもあるということです。富裕層というのは、他よりも少しでも違った商品を欲しがります。SUVはブームだけどもお隣の家とは違った商品が欲しいとなり、その時にクーペ風SUVが多少高価であったとしても選ばれるわけです。
先進国や世界一の自動車市場へと成長した中国など、成熟した今後は人口減少の局面へと向かいます。この時に大量生産による価格を抑えたモデルばかりを販売しているビジネスモデルではジリ貧となり、衰退することが目に見えています。そこで、今から高付加価値商品を富裕層へアプローチしておく必要があります。
そのための、人とは違うクーペSUVのモデルがラインナップには必要なのです。