パナメーラは928以来悲願の4ドアセダン
2016年末、12/20に日本でも2代目となる新型パナメーラが7年ぶりにフルモデルチェンジされて発表されましたけれども、旧型もまだまだイケます。シャープな新型よりも、このような丸っこいタイプの方がポルシェらしくて好き、という人も少なくないはずです。
個人的には、こういうチョコレート色(カッパールビー)なんかは好きです。ベージュメタリックとかはこういった茶色系は、一般的には好まれずに敬遠されますから、こういった不人気色は中古車になりますと相場よりも安く買えるのもメリットで、乗り潰すのなら選択肢としてありかとは思います。
ですが、パナメーラは元値が2,000万円級と高価ですので、下がっているとはいいましても中古価格はそれなりに高価です。そんなパナメーラも、最近ではけっこう街中を走っているのを見かけるようになりました。
世の中、お金があるところにはあるものです。このクラスの車になりますと、経営者が会社の経費で購入しているものと思われます。
これまでのポルシェでは、911のような2ドアスポーツカーはまず税務署が会社の経費としては認めてはくれません。痛車などにして、広告宣伝に利用していれば別ではありますが、これもしっかりとしたイベントに出すなどの宣伝実績がないと経費落としは難しくもあります。
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ボディの横に小さく社名を入れる程度では、2ドアクーペは会社の経費で購入することは無理なようです。
ポルシェ911は、この社用車として購入できない趣味性が高い車であることが、不景気になるとポルシェAGの会社としての経営が急速に悪化することにつながり、これまでにも何度も経営危機がありました。そこで待望されていたのがポルシェ初の4ドアモデルで、ようやくカイエンのヒットに続き928以来の悲願の4ドアセダンでもあるパナメーラが誕生しています。
なお、この写真のパナメーラはポルシェ・センター(PC)扱いのアプルーブドカーで、グレードが「GTS」となります。
価格と性能のバランスが取れたGTS
ポルシェでは低価格な方からグレード名が「無印」「T」「S」「GTS」「ターボ」「ターボパフォーマンス(エグゼクティブ)」とラインナップが並んでいます。
今どきは、2000ccの小排気量でも直噴ターボを採用していることから、下のグレードでも実際にはターボが付いていたりするのですが、昔の「ターボ」=「ハイパワー・高性能」というイメージから、グレード名として「ターボ」という名称を使用しています。
ただし、ターボ以上のグレードはハイパワーであることは間違いないため、重量級のボディであっても速いことは確かです。しかしながら、「ターボ」や「ターボパフォーマンス」といった最上級グレードは、価格もハイスペックとなることから普通の人にはとても手が出ない価格帯となるのが一般的です。
このため、ポルシェの中古車においても人気が高いのは買いやすい価格帯の下位グレードであり、上位グレードの中古価格は値落ちが大きい傾向にあります。下位グレードの人気が高いのは、排気量や車重などから税金が安いという関係もあります。
このあたりはポルシェAGも重々承知しているようで、新型モデルが登場し1~2年して生産が落ち着いてきますと「GTS」というグレードを追加してきます。
この「GTS」というグレードは、「S」と「ターボ」の間を埋めるように、性能は「S」を引き上げてチューンして「ターボ」に迫るものを持っているけれども、排気量や価格帯は「S」に近いというものです。また、専用のエアロなどを装備していることから外観も一目見て他のグレードとは違っていたりします。
この特別感と、でも価格や排気量は「S」に近いということで、装備なども含めてお買い得感が高い仕様となっていることから、新車オーダーでは人気が高く納車まで1年以上かかることも少なくありません。ということは中古車市場でも高い人気を維持しており、高値安定となっています。
そもそも、「ターボ」や「ターボパフォーマンス」のハイパワーは、日本国内のどこでそのパフォーマンスを発揮できるのか?という問題もあります。ドイツのアウトバーンで、速度無制限の区間ならまだしも・・・
これもあって、上位グレードの販売台数はそれほど多くはなく、数年後のマイナーチェンジではカタログ落ちすることも珍しくありません。そうなりますと、実質的な最高グレードは「GTS」となるわけで、人気がここに集中するのも理解できます。
ポルシェのGTSは本当にお買い得なのか
ポルシェのベースモデルを購入しようとした場合に、次の2つのパターンが考えられます。
- 少しでも予算を抑えるべく最低限のオプションを選択
- 欲しい、必要なオプションをフル装備
実際には、ポルシェのオーダーでは購入者に合わせてこの間が無数にあり、これが正解というオプション選択はないのですが、ここでは便宜上このように考えます。
パナメーラ(2代目2023年で試算)の「無印」1,305万円と「GTS」2,013万円の装備を比べてみます。もうすでに、この時点で日本車の高級車1台分くらいの差がついているのですけども。
無印のパナメーラにGTSでは標準装備されているオプション類を装備しますと254.8万円となり、その差額は453.2万円となります。その差は、エンジンがV6/2.9LかV8/4.0LかでGTSは4SがベースであることからAWDとなります。また、GTSにはエアサスとPASMが標準装備でこれは無印パナメーラには装着ができないようです。
その差が450万円余りとなるわけですが、この金額にその分だけの価値があるかどうかは人それぞれです。
とは言え、GTSを選んだ場合でもメカニカルな部分では標準装備が充実していたとしましても、トラフィックジャムなどの快適装備は付いていないことが多く、内装も価格の割にはショボいことからさらに内装のグレードを上げてこだわっていきますと、やはりそこから最低でも200~300万円分のオプションが上乗せされていくことになるわけです。
比較的その差が小さいのがポルシェのエントリーモデルでもあるマカンで、その差額は約80万円にまで縮小します。性能の差がエンジンのみとなっており、直4/2.0LとV6/2.9Lで0-100km/hまでの速さが断然違います。
装備類では、GTSに標準装備のエアサスやPASM、スポーツエグゾーストなどを無印マカンにも装着が可能で、エクステリアも近い外観に持っていくことが可能です。ただしGTS専用セッティングや専用のエロパーツなどを考えますと、80万円の差はどうなのかな?と悩むところではあるかと思います。
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セラミックコーティングのブレーキ(49.5万円)や、スポエグ(40万円)は過剰な装備で必要ないと言う人もいるかとは思いますが。
それでも、無印マカンやマカンSの納期が約半年なのに対して、GTSは生産割り当てが少ない上に人気のため納期が1年とか1年半とも言われていますので、この部分で断念する人も少なくはないかと思われます。
こちらのマカンGTSも、内装などは無印マカンと同じですので、コンフィグレートを行ってみますと車両本体価格の1,235万円から最低でも150万円ほどは上がってしまうことになります。